必要な社会保障費を抑制するという姿勢は好ましくない。元気な高齢者が長く生きがいを持って生活できる様な諸施策を打つことによって、結果的に社会保障費をできる限り抑えられる様な取り組みを強化すべきである。
社会保障は国民の皆さんが安心して生活するためには欠かせない重要なものだと考える。例えば年金制度を含めて老後がしっかりと保障されているという安心感があれば高齢者の方は徒に貯蓄に励むのではなく消費活動を旺盛に行うため、内需の拡大や経済活性化につながり、その結果若年者の雇用環境も改善すると考えられる。つまり社会保障制度は単にお金を使うのではなく、生産活動を活発化させ雇用も生み出す。そのため、財政赤字を理由とした単純な抑制については反対だが、一方でそれぞれの社会保障制度について聖域化することなく、常に制度の実施状況を確認・点検をし、限られた財源の中での最適な資源配分を念頭に改革・充実化に取り組みたい。
高齢者雇用の創出を測った上で年金の支給開始年齢の段階的引上げを行うべきです。なお、年金制度は賦課方式から積立方式への転換が絶対に必要です。
増大しつづける医療費については、医療費自己負担割合の一律化を図ります。年齢で負担割合に差を設けるのではなく、所得に応じて負担割合に差を設けるのが合理的だからです。
また、快適性を求める方、最先端の医療を受けたい方のために、混合診療の適用範囲を拡大することも重要です。これは保険制度に負担をかけることなく、医療を発展させていく礎になる政策だと考えます。
社会保障の担い手である若者世代に過重な負担が生じていることも事実です。今後は世代間の格差を縮小する対応が必要になります。この状況を踏まえ非正規労働者や単身世帯の急増への対応や、再挑戦が可能なセーフティネットの構築など、若者世代を含む人生前半の社会保障整備を進めます。また、所得再分配強化の面から「給付付き税額控除」の創設を推進したいと考えます。若者では3人に1人が非正規労働者の時代。さらにグローバル化の中で産業構造は大きく変化し、核家族化や単身世帯の増加が進んでいます。これまで「企業」や「家族」の果たしてきた使用者負担や扶養制度などの現役世代の社会保障を補う役割の担い手が減少していますので、社会保障の将来像を提示することが必要です。
高齢化なので社会保障費は経済成長率に見合うよう抑制すべき―こんな議論が行われ、小泉構造改革時代には、社会保障費の毎年2,200億円削減が強行され、今、ました。
しかし、社会保障は、けがや病気、障害、年齢、労働災害、出産などで働けなくなったり、育児や出産などで特に通常とことなる出費が必要になった場合などに正常な生活ができるよう、国の責任で現金や医療、現物サービスなどの給付が行われる公的な制度です。あらかじめ削減額の枠をはめること自身無理で、間違いです。厚労大臣ですら「医療費の伸びは経済成長率と連動しない要素がある」と認めているものです。高齢化はヨーロッパも同じですが、日本の様なやり方はしていません。
社会保障の財源はしっかり確保することが大事です。私たちは既に「経済の民主的改革」と「税・財政の改革」を提案していますが、10年後には約40兆円の財源をつくる道も示しています。立派にやっていけます。
このままでは現在の社会保障制度が破綻するのは明確であります。この事態を打開するためには単純に社会保障費を抑制するのではなく、規制緩和などによる経済の発展拡大を実現し、労働者人口を増加させ、高齢者就業率を高めることで税収の増加と支出の削減の両方を同時に行っていく必要があると考えます。